Journal of Veterinary Medical Science
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核酸前駆物質による6-アザウラシルの抗コクシジウム活性に対する拮抗現象
小林 恒夫針ロ ニ三男岡本 勉岡田 之孝林 俊克松野 年美
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1996 年 58 巻 2 号 p. 121-127

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抄録

核酸前駆物質による6-アザウラシル(AzU)の抗コクシジウム活性に対する拮抗現象について試験した. 各核酸前駆物質, オロチン酸, オロチジン, ウラシル, ウリジン, アデニンまたはアデノシンをAzUと組み合わせてAzUの有効濃度と同濃度に飼料に配合し, Eimeria tenella, E.necatrixまたは, E.acervulinaを感染した白色レグホーン雄ヒナに投与してバタリー試験方法により, 各組み合わせ処理がAzUの効果に及ぼす影響を調べた. また, ニワトリヒナ腎(CK)細胞で培養したE.tenellaを用いてin vitroにおける同様の拮抗現象をin vitroのそれと対比して試験した. オロチン酸およびウリジンは, AzUのE.tenella感染に対する活性を用量相関的に抑制した. ウラシルおよびオロチジンは同様の影響を示した. アデニン, アデノシンは, AzUに対して何らの拮抗性も示さなかった. AzUのE.necatrixに対する活性に対してオロチン酸およびウリジンは同様の傾向を示したが, その影響は著明ではなかった. E.acervulinaに対するAzUの活性は, ウリジンもしくはオロチン酸の同時投与により減少した. AzUはCK細胞で培養したシゾゴニー期のE.tenallaの発育を阻止し, この活性はウリジンのみにより低下し, オロチン酸およびオロチジンでは減少しなかった. 数種のピリミジン核酸前駆物質がE.tenella, E.necatrixおよびE.acervulinaに対するAzUの抗コクシジウム活性に対し拮抗的に作用したことは, AzUの抗コクシジウム作用がそれらの原虫のピリミジンヌレオチド合成の代謝阻害によることを示唆している.

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