抄録
ジクラズリルの抗コクシジウム活性の特徴を一連のバタリー試験により調べた. ジクラズリルは, 飼料中0.1ppm以上の濃度でEimeria tenella, E.necatrixまたは, E.acervulina感染ヒナに対して優れた抗コクシジウム効果を示した. ジクラズリルをウラシル, ウリジン, オロチン酸またはオロチジンなどの核酸前駆物質と組み合わせて飼料に混合し, 上記の各コクシジウム感染ヒナに投与した場合, ジクラズリルの抗コクシジウム効果はなんら減少することはなかった. 一方, ジクラズリルをuridine 5'-diphosphoglucose(UDPG)もしくはそのN-acetyle amine(UDPGNAC)と組み合わせてE.tenella感染ヒナに投与すると, 血便を伴う重度の盲腸病変が観察された. しかし, ヒナの増体量の維持ならびにオーシスト産生阻止は, それらの組み合わせ投与によっても損なわれなかった. すなわち, 拮抗現象は部分的であった. ジクラズリルと6-アザウラシル(AzU)に対するE.tenellaにおける交差耐性の可能性を, 人工的にジクラズリルまたはAzUに対する抵抗性を獲得させた2つの株を用いて調べた. その結果, AzUとジクラズリルに対する交差耐性は観察されず, それら両化合物の作用機序が全く異なることが示唆された.