Journal of Veterinary Medical Science
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スナネズミの血清乳酸脱水素酵素およびアルカリフォスファターゼアイソザイムパターンの電気泳動による検討
清水 眞澄飯田 和美吉田 治弘七戸 和博
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1996 年 58 巻 5 号 p. 401-406

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抄録

スナネズミは実験動物として広く利用されているが, 酵素のアイソザイムパターンや遺伝的多型性についての報告は極めて少ない. 今回, 血清乳酸脱水素酵素(LDH)およびアルカリフォスファターゼ(ALP)アイソザイムの電気泳動パターンについて, スナネズミの被毛色突然変異体間の遺伝的多型性の有無および他種の小型齧歯類との比較を目的として検討した. 野生色と被毛色突然変異体4種のスナネズミとラット, マウスおよびモルモットについて, 血清中LDHおよびALPの電気泳動パターンを比較検討した. スナネズミの血清LDHアイソザイムは5本のバンドのうち, 2および5番目が明瞭に染色され, どちらも総活性値の32~35%を占めた. スナネズミおよびモルモット各1例に6本目のバンドが観察されたが, 遺伝的多型性を示す変異ではないと考えられた. スナネズミの血清ALPは2本のバンドが識別され, ノイラミニダーゼ処理血清において陽極側に検出されたアイソザイムの割合は, マウスやラットに比べて著しく高かった. これらの成績に被毛色間の変異は観察されなかった. 動物種間で比較してみると, LDH, ALPのアイソザイムの易動度に, 種によって明瞭な違いが認められた.

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