抄録
ウシのAkirin2遺伝子の+22220の位置に1塩基置換(A/G)が存在し,大分県の黒毛和種集団において脂肪交雑との間に関連性が存在することが報告されており,脂肪交雑に関連する候補遺伝子の1つとして注目されている.そこで,佐賀県で生産された種雄牛と繁殖基礎雌牛ならびに佐賀県産種雄牛である糸晴栄の去勢息牛について,この1塩基置換と枝肉形質との関連性を検討した.種雄牛と繁殖基礎雌牛の遺伝子型はAA11頭,AG12頭,GG10頭であった.分散分析の結果,遺伝子型の効果は枝肉重量とバラの厚さについて5%水準で有意であり,GG型が有意に重い枝肉重量と厚いバラを持つことが示された.他方,糸晴栄去勢息牛の遺伝子型はAA型60頭,AG型122頭,GG型56頭であった.遺伝子型の効果は肉の光沢と肉のきめしまり等級において5%水準で有意性が認められ,AA型が肉の光沢と肉のきめしまり等級で有意に優れていることが示された.