抄録
高温環境におけるヤギの泌乳成績低下が自家配合飼料の摂取量増加により改善されるかどうかを明らかにす
るために,2 つの実験がなされた. 実験1 では,ヤギにおける自家配合飼料の栄養価が測定された.その結果,
自家配合飼料のDCP 及びTDN 含量は14.0% 及び78.5% であった.実験2 では10 頭のヤギが2 群に配置された.
粗飼料自由摂取群(DFG) の各動物は粗く砕いたアルファルファヘイキューブを残食する量及び自家配合飼料
300 g を1 日2 回給与された.一方,配合飼料自由摂取群(CFG) の各動物は粗く砕いたアルファルファヘイキュー
ブ300 g 及び自家配合飼料の残食する量を1 日2 回給与された.全動物は前常温環境(環境温度20.0oC, 相対
湿度80.0%)に12 日間維持された後,高温環境(環境温度32.0oC, 相対湿度80.0%)に13 日間曝露された.そ
の後,再び常温環境に12 日間維持された.搾乳は1 日2 回なされた.高温環境におけるTDN 及びDCP 摂取
量は,CFG がDFG より有意に多かった.高温曝露に伴い,DFG 群の泌乳量は減少したが,CFG は変化しな
かった.高温曝露に伴い,乳成分率は両群ともに減少したが,高温環境における乳成分生産量はCFG がDFG
より有意に多かった.本研究の結果は,配合飼料の摂取量の増加が高温環境におけるヤギの泌乳量及び乳成分
生産量の減少を軽減することを示している.