日本暖地畜産学会報
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57 巻, 2 号
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原著論文(一般論文)
  • 加藤 直樹, 服部 育男, 清村 康, 桂 真昭, 小林 良次
    2014 年 57 巻 2 号 p. 97-104
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    イタリアンライグラス(I),オオムギ(B)およびエンバク(O)の生育時期別の耐湿性を明ら かにするため,播種後21 日間の湛水が出芽率に及ぼす影響と,播種後52 日目以降の生育初期または95 日目 以降の生育後期における14 日間の湛水が,湛水終了時および収穫期の生育に及ぼす影響を調査した.出芽期 の湛水による出芽率の低下程度はI では最も少なく,B では最も高く,O では両者の中間であった.生育初期 の湛水は湛水終了時および収穫期ともに3 作物の乾物重を有意に低下させなかったが,生育後期の湛水処理終 了時では3 作物の根の乾物重を低下させた.また生育後期の湛水からの収穫期における回復程度は作物種によ り異なり,地上部乾物重はI とO では湛水処理した試験区と対照区との間に差はなかったが,B では湛水処 理により有意に低下した.以上から,耐湿性および湿害後の回復程度を合わせ評価すると,I の耐湿性が最も 強く,次いでO,B の順となった.
  • 楊 家華, 井戸田 幸子, 飛佐 学, 李 国梅, 宋 仁徳, 李 暁琴, 李 海珠, 多炭 雅博, 長谷川 信美
    2014 年 57 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    チベット高原野草放牧地で,クチグロナキウサギ(Ochotona curzoniae)の生息密度と植生お よび土壌との関係を明らかにするために,10 プロット(各20 m × 20 m)で巣穴開口部密度(BD),高利用 開口部密度(ABD),植生と土壌(0 〜5 cm 深)理化学性を調査した.BD は草高と有意な負の相関(P < 0.05), 植被率とは負および仮比重とは正の有意な傾向のある相関(P < 0.1)を示し,ABD は草高とは負,仮比重と は正の有意な傾向のある相関(P < 0.1)を示した.一般化線形モデル解析で,BD とABD は草高が低く土壌 硬度とTN が高いほど高く,土壌陽イオンと陰イオンではCa2+,NH4 + とSO4 2- が低いほど高く,K+ が高いほ ど高くなる影響を受けることが示された.家畜の強放牧による草高の低下,土壌硬度の増加,TN の増加およ びTC の低下が同種の生息密度増加と関連していることが示唆された.
  • ラハマン MD ミザヌル, 西山 由紀, 山中 賢一, 阿南 加治男, 和田 康彦
    2014 年 57 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    烏骨鶏は有名な黒色の骨を有する鶏品種で、体重は小さく、産卵数も少なく、改良の必要性が指摘されて いる。以前の研究で、大分県の烏骨鶏の選抜集団において生産形質とDNA マーカーとの関連性が示されてい る。そこで、本研究ではプロラクチン受容体や成長ホルモン受容体が座乗しているZ 染色体上のDNA マー カーについて検討した。大分県の烏骨鶏選抜集団の第5 世代の、雌202 羽、雄58 羽について、Z 染色体上の 5 つのDNA マーカーについてPCR-RFLP で遺伝子型判定を行い、SAS のMixed Procedure を用いて、父鶏 と母鶏を変量効果とした混合線形モデルで遺伝子型と生産形質との間の関連性について検討した。その結果、 rs16773406 では産卵率(p<0.05) と150 日齢体重(p<0.001) で有意な関連性が認められた。また、rs159910838 では平均卵重で有意な関連性が認められた(p<0.05)。雄ではエンビギンとrs15991083 で150 日齢体重との間 で有意な関連性が認められ、300 日齢体重についてはrs16763148 とrs16773406 で有意な関連性が認められ た(p<0.05)。
  • Fortune Ntengwa JOMANE, 徳永 忠昭, 石田 孝史, 原田 宏
    2014 年 57 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    種雄牛候補牛の選抜を行うための検定である産肉能力検定直接法( 直接検定) は,増体能力や飼料効率等に 重きを置かれた選抜であるため,産肉形質に関する個体選抜としては必ずしも十分ではなく,産肉能力に優れ た種雄牛を造成する上で,早期かつ正確に優良種雄牛を選抜する手法の確立が急務とされている.そこで本研 究は,1990 ~ 2012 年までに宮崎県において直接検定を受検した525 頭の種雄牛候補牛を供試牛として,検定 牛の超音波診断により得られた個体自身の産肉形質測定値の分散成分および遺伝率を推定することを目的と した.超音波測定で得られた分析対象形質は,およそ11 ヶ月齢の直接検定牛の生体左側第6-7 および第12-13 肋骨間横断面におけるロース芯面積(REA7/13),第6-7 肋骨間横断面における皮下脂肪厚(SFT),筋間脂肪厚 (IMFT),バラ厚(RT),脂肪交雑(BMS),僧帽筋厚(TMT) および 広背筋厚(LMT) である.分散成分および遺 伝率を推定するために,JMP® 5.0.1 プログラムを用いて最小自乗分散分析および単形質解析REML 法を行っ た.分析にあたり,要因効果として,種雄牛を変量効果,検定年度および検定開始季節を母数効果,開始時 月齢を回帰に取り上げた.本研究で取り上げた産肉形質の中でREA7/13, SFT, IMFT, RT, TMT および LMT は,中程度の遺伝率が推定され,直接検定中の超音波測定によって得られる個体自身の産肉形質が遺伝 的改良に利用できる可能性が示唆された.
  • 長嶺 樹, 砂川 勝徳
    2014 年 57 巻 2 号 p. 131-140
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    高温環境におけるヤギの泌乳成績低下が自家配合飼料の摂取量増加により改善されるかどうかを明らかにす るために,2 つの実験がなされた. 実験1 では,ヤギにおける自家配合飼料の栄養価が測定された.その結果, 自家配合飼料のDCP 及びTDN 含量は14.0% 及び78.5% であった.実験2 では10 頭のヤギが2 群に配置された. 粗飼料自由摂取群(DFG) の各動物は粗く砕いたアルファルファヘイキューブを残食する量及び自家配合飼料 300 g を1 日2 回給与された.一方,配合飼料自由摂取群(CFG) の各動物は粗く砕いたアルファルファヘイキュー ブ300 g 及び自家配合飼料の残食する量を1 日2 回給与された.全動物は前常温環境(環境温度20.0oC, 相対 湿度80.0%)に12 日間維持された後,高温環境(環境温度32.0oC, 相対湿度80.0%)に13 日間曝露された.そ の後,再び常温環境に12 日間維持された.搾乳は1 日2 回なされた.高温環境におけるTDN 及びDCP 摂取 量は,CFG がDFG より有意に多かった.高温曝露に伴い,DFG 群の泌乳量は減少したが,CFG は変化しな かった.高温曝露に伴い,乳成分率は両群ともに減少したが,高温環境における乳成分生産量はCFG がDFG より有意に多かった.本研究の結果は,配合飼料の摂取量の増加が高温環境におけるヤギの泌乳量及び乳成分 生産量の減少を軽減することを示している.
原著論文(短報論文)
  • 橋元 大介, 岩元 禎, 早田 剛, 中西 良孝
    2014 年 57 巻 2 号 p. 141-145
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    肥育牛の低コストかつ客観的な脂肪交雑推定法を検討するため,肥育牛最後位胸椎位胸最長 筋(以下,サーロイン)の生検筋肉材料をバイオプシーにより採取し,その水分または粗脂肪含量,枝肉第 6-7 肋骨間切開面胸最長筋(以下,リブロース)の粗脂肪含量およびリブロースの脂肪交雑基準(以下, BMS No.)の相互関係を検討した.黒毛和種肥育牛去勢37 頭,雌12 頭ならびにホルスタイン種肥育牛去勢6 頭を 供試した.出荷約1 ヵ月前に生体左側の第1 腰椎位より腹側約100 mm から頭方へバイオプシーを行い,生 検針を頭方へ約60°の角度で差し込み数回穿刺した.サーロイン生検筋肉材料の水分または粗脂肪含量とリブ ロースの粗脂肪含量およびBMS No. との間でそれぞれ有意な単回帰式が得られた.以上から,出荷1 ヵ月前 の肥育牛最後位胸椎位胸最長筋生検筋肉材料の水分または粗脂肪含量によってBMS No. を推定する可能性が 示唆された.
  • Marhamah NADIR, Arisa TANAKA, Shotaro KUWABARA, Hiroya MATUURA, Toshih ...
    2014 年 57 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/01/01
    ジャーナル フリー
    In Kushima, Miyazaki Prefecture, Japan, we previously discovered three triploid hybrid seedlings of Miscanthus sacchariflorus. Therefore, at this location, we expected to discover some mature triploid Miscanthus plants. We collected rhizomes of 65 mature plants (31 M. sinensis; 34 M. sacchariflorus) from Kushima, and determined the 2C DNA contents of these plants by using propidium iodide flow cytometry. We compared these data with the 2C DNA contents of 170 plants from 4 other sites in Japan. We determined the average 2C DNA content of the 31 mature M. sinensis (5.22 pg) was markedly lower than that of the 34 mature M. sacchariflorus (8.72 pg). We found no mature plant showing intermediate DNA content between the 2 species. The 2C DNA content of M. sacchariflorus tended to be higher in Kushima than in any of the other 4 sites. Contrary to our prediction, we did not obtain triploid hybrids in mature Miscanthus plants at any of our study sites, including Kushima. In addition, we found a higher number of putative tetraploid hybrids occur in Kushima that in any of the other 4 sites. The large variations of relative DNA contents among M. sacchariflorus populations may be caused by natural hybridization.
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