日本暖地畜産学会報
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一般論文
異なるアブラヤシ副産物(空果房または樹幹)主体培地由来のキノコ廃菌床を含む発酵TMRの品質と肉用牛による嗜好性
中西 良孝野島 舞葉久冨 紫音中村 南美子髙山 耕二大島 一郎園田 寛人山内 正仁
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2022 年 65 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

異なるアブラヤシ(Elaeis guineensis)副産物(空果房および樹幹)を主体培地としてヒラタケ(Pleurotus ostreatus)菌床栽培した後の廃菌床を含む発酵TMRの品質および肉用繁殖牛による嗜好性を検討した.廃菌床を含まない対照区(原物重比でチモシー乾草40.5%,配合飼料8.6%,パイナップル残渣14.6%および乳酸菌製剤0.1%以下)と発酵処理した空果房(以下,FEFB)および樹幹(以下,OPT)主体培地由来廃菌床を用いて対照区の材料を原物で5%または10%代替した4試験区の計5処理区(各区3反復)を設け,乾物率が50~55%となるよう水分調整した.pHは全区とも4.3以下であり,乳酸および酢酸含量に有意な区間差は認められず,酪酸は検出されなかった.また,フリーク評点は全区とも99点以上であり,区間差はみられなかった.さらに,ウシによる嗜好性にも区間差はなかった.以上より,異なるアブラヤシ副産物主体培地由来のヒラタケ廃菌床を用い,肉用繁殖牛向け発酵TMRの材料を10%まで代替しても,発酵品質および嗜好性は廃菌床を含まない場合と比べて遜色ないことが明らかとなった.

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© 2022 日本暖地畜産学会
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