離乳後の黒毛和種子牛6頭を用いて,発声音の共通部分を抽出して音響パラメータの経過日数による影響を調べた.発声回数(3h/日)は離乳翌日が1,711回であったが,5日目には24回に激減した.発声音は音声解析ソフトPraatを用いて,波形の形状とスペクトログラム解析から音響パラメータを数値化して比較した.抽出部分における基本周波数(平均,最小ならびに最大値),声の強度(平均,最小ならびに最大値)ならびに母音の構成素音(フォルマント1–5)について比較したところ,基本周波数とフォルマントで有意差が認められた.特に基本周波数は平均,最小ならびに最大値ともに離乳1日目と2日目が160 Hz台であったが,離乳3日目からは300 Hz以上に有意に上昇した.一方,フォルマント1および2は経過日数により低下したが,フォルマント5は離乳3日目から4日目にかけて上昇する傾向にあった.加えて,常用対数を用いた音響パラメータの規則性の変化は,基本周波数が最も大きく,3日目を境としてグループ化した判別分析では正答率は72%であった.以上より,離乳後の発声音における音響パラメータは,基本周波数が約2倍に上昇するなど,経過日数により変化することが明らかになった.
日本暖地畜産学会報 68(2):87-95,2025