抄録
水草を野菜残渣および食品廃棄物と共発酵した消化液の希釈液を用いて、リーフレタスおよびコマツナを水耕栽培した。園試処方50% 濃度の培養液を対照とし、硝酸化処理を行う前の消化液(硝酸化前液)および処理を行った消化液(硝酸化後液)の肥料特性を調査した。水草にはMn が多く含まれているため、消化液のMn が過剰濃度となり生理障害の原因となるが、共発酵することで消化液のMn 濃度は低下した。そのため、コマツナではMn 過剰障害が発生したが、リーフレタスではMn 過剰障害が発生せず、硝酸化後液区のほうが、園試処方区よりも生育が促進され、硝酸化前液区でも園試処方区と同等の生育量となった。さらに硝酸化前液区では葉の硝酸塩含量が低下した。以上のことから、リーフレタスでは水草を主原料として共発酵した消化液を水耕栽培に用いてもMn 過剰障害は発生せず、品質が向上する点では硝酸化前液も利用できる可能性が示された。一方、コマツナではMn 過剰障害が発生したことから、共発酵した消化液を多数の植物種で培養液利用するためには、消化液中のMn 濃度をさらに下げる必要があることが示された。