2026 年 72 巻 2 号 p. 49-57
リグニンはモノリグノール同士がさまざまな結合様式で複雑にラジカルカップリングすることで形成される天然高分子である。数ある結合様式の中でもβ-O-4結合が約50%を占めているが,重合過程のどの段階で,どの程度β-O-4結合が形成されるのかは依然として不明瞭である。本研究ではβ-O-4二量体,β-5二量体,β-β二量体と[3-OCD3]コニフェリルアルコール(D-CA)を用いて酵素的脱水素重合物(DHP)を合成し,二量体にD-CAがカップリングして三量体を形成する際にβ-O-4結合が形成される確率を調査した。得られたDHPをチオアシドリシスに供し,分解生成物を解析したところ,β-O-4結合形成割合は二量体間で大きな差は現れなかった一方で,未反応のβ-5二量体の量は他の二量体よりも多いことが明らかとなった。