抄録
生体分子間の相互作用解析法として等温滴定型カロリメトリー(Isothermal Titration Calorimetry; ITC)が古くから用いられている.近年,検出感度の向上と測定サンプルの微量化を達成した測定装置が市販されるようになったことから,今後その利用頻度はさらに高くなっていくものと思われる.ITC測定は,一度の測定で相互作用の熱力学的パラメータのフルセットを得ることができるという点において,表面プラズモン共鳴法やその他の分光学的方法による相互作用解析系とは一線を画している.本稿では筆者らが行った糖質加水分解酵素–基質間相互作用解析の例を中心に,ITC測定の原理と一般的な使用法に加えて,酵素の基質結合メカニズムに迫るより詳細な解析法について述べる.