2020 年 76 巻 2 号 p. I_97-I_102
世界遺産登録を目指す卓抜した自然現象・自然景観である「鳴門の渦潮」の発生メカニズムと,周辺海域環境への影響に着目し,4段ネスト高解像度海洋流動モデリング技術を用いた精緻な数値解析を行った.鳴門海峡に出現する渦潮は,紀淡海峡で分派して淡路島東岸から明石海峡を経て伝播する潮汐波と,紀伊水道北部での潮汐の位相差に伴う圧力勾配によって惹起され,2つの岬に挟まれた狭隘な海峡という独特の地形的な拘束によって強化される潮流の水平シア不安定によって発生することを明らかにした.また,渦潮域直下では海峡中央部の強流帯で沈み込むようなdipole型の鉛直循環流が発生し,極めて効率的な鉛直混合が生じていること,播磨灘から紀伊水道方向への平均海水輸送を促進していることが示された.