海の研究
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総説
海洋學談話會から日本海洋学会創立への道と初期10年
黒田 一紀
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2020 年 29 巻 2 号 p. 37-53

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抄録

「海洋學談話會」は,農林省水産試験場の宇田道隆の発起により,海洋学に関する論著の紹介,試験研究成果の発表,および各職場の会員間の交流を目的として,1932年4月に開始された。東京・月島の水産試験場で月2 回木曜日の例会は1941年2月の172回まで続き,実講演者は80名,延べ話題提供数は506件に達した。この実績に伴う海洋学への情熱と連携の高まりによって提唱された日本海洋学会の創立は,海洋気象台(神戸)に既存していた「海洋学会」と話合いが行われたが,1937年前半に不調に帰した。その後,1939年末における標準海水準備委員会の立上げを切掛けとして,「海洋學談話會」と「海洋学会」との間に妥協が成立し,1941年1月28日に創立に至った。ここでは,「海洋學談話會」の発起,内容,切掛けおよび母体から日本海洋学会創立への紆余曲折の経緯を調べたので,関係科学者の役割も含めて報告する。

キーワード:海洋 學談話會,海洋学会,日本海洋学会,宇田道隆,日高孝次

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