2004 年 13 巻 3 号 p. 295-300
月の昇交点変動に伴うf値の経年変動の影響を考慮した場合と考慮しない場合の毎月の調和分析を行って,1968年~2002年の有明海におけるM2,S2,K1,01分潮の振幅変化を明らかにした。その結果,有明海で最も卓越するM2周期の潮汐振幅は1996年以降,f値補正をした場合も,f値補正をしない場合も減少していることが判明した。さらに,最大大潮差に相当する(M2+S2+K1+O1)振幅は1986年以降,平均大潮差に相当する(M2+S2)振幅は1995年以降,減少していることもわかった。有明海の環境変化の原因を明らかにするための数値実験の検証は,有明海の実際の潮汐変動を表すf値補正をしない各分潮周期の海面変動振幅を合わせるように行う必要がある。