抄録
レスポンシブル・ケア活動(RC活動)とは化学物質の開発から製造,物流,使用,最終消費,廃棄の全ライフサイクルにわたって,環境・安全・健康に配慮することを経営方針において公約し,自主的に環境・安全対策の実行と改善をおこなっていく活動で,世界52ヵ国の化学産業が参加しているワールドワイドな自主的な取組みである。この活動が始まった背景には,化学工場での事故や化学品の持つ有毒性に由来する化学産業に対する社会からの厳しい目があった。RC活動の特徴として筆者が強調しておきたいポイントは,化学業界の「秘密主義的」ともいわれる風潮を変えるための「経営倫理の転換」と,それに伴う「社会とのコミュニケーションの重視」の2つである。