2016 年 64 巻 9 号 p. 428-431
「目的意識をもって観察,実験などを行い,科学的に探究する能力と態度を育てる」ことは,学習指導要領に明記された理科の目標であり,本来,すべての生徒は観察実験などを通じて探究的に理科を学習しているはずである。しかし,科学的探究能力の中身については明確な規定がなく,実施すべき観察実験も指定がない状況で,日本の高校理科では,観察実験活動に乏しい座学が一般的となっている。本稿では,英国や米国の取り組みを参照しながら,すべての生徒に身につけさせる科学的探究能力を明確にする必要性について論じる。