化学と教育
Online ISSN : 2424-1830
Print ISSN : 0386-2151
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64 巻, 9 号
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化学教育 徒然草
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講座:ご当地の化学
  • 田中 孝国
    2016 年 64 巻 9 号 p. 452-455
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/01
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    栃木県の代表的な農産物であるかんぴょうは,輸入品の増加や生産者の高齢化による減産などから生産量が落ち込んでいる。さらにかんぴょうは,食品としては地味な存在であるため,消費増につながる新製品開発が難しく,栃木県の特産品としての地位がゆらぎはじめている。そのため従来の食品としてかんぴょうにアプローチするのではなく,工業製品として改めてかんぴょうを捉え直し,利用増できる新製品について可能性を探っている。現在までのところ,かんぴょうの構造を利用した吸湿剤(乾燥剤)としての応用性が判明し,高湿度下における有効性が確認できた。この乾燥剤は,自然由来の原材料であることから,誤食誤飲時の安全性をもつ乾燥剤であるといえた。その一方で,かんぴょうの乾燥剤としての作用は複雑であるため,吸湿性能を上昇させるためにもさらなる検討が必要であると考えられる。

  • 玉田 靖
    2016 年 64 巻 9 号 p. 456-459
    発行日: 2016/09/20
    公開日: 2017/03/01
    解説誌・一般情報誌 フリー

    繊維の女王として未だその地位を譲らない絹(シルク)は,衣料用素材として6000年以上の歴史がある。カイコが常温常圧で紡糸するメカニズムは,シルクの特徴的な化学構造によるところが大きい。このメカニズムを有効に生かすことで,シルクタンパク質を水溶媒により常温常圧で,フィルム,スポンジ,ゲル,ナノファイバー不織布へ加工することが可能となる。一方,シルク(絹糸)は,外科用縫合糸として古くから臨床的に使用されてきた生体親和性に優れた医療用素材でもある。加工性と生体親和性を生かすことで,医療用材料として,特に再生医療用細胞足場材料としての,シルクの利用研究が活発化している。シルクスポンジ内に軟骨細胞を播種して,軟骨欠損モデル動物に適用したところ,広範囲の軟骨欠損患部に良好な軟骨組織の再生が確認された。新しい軟骨再生治療法へのシルクの活用が期待できる。

シリーズ:教科書から一歩進んだ身近な製品の化学 ―匠の化学―
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