2025 年 25 巻 12 号 p. 523-529
イオン液体(ILs)は従来にない化合物可溶化能を持つことから,水とも既存の有機溶媒とも異なる新たな溶媒としての利用が期待されている。しかし,従来のILsは生体応用を企図していないことから,毒性・安全性の面で懸念がある。このような背景のもと,コリンやアミノ酸のような生体由来成分からなるILs,すなわち生体適合性イオン液体(Biocompatible ILs)が医薬品の分野では注目されている。本総説では,コリンとゲラン酸からなるCAGE,アミノ酸-脂肪酸およびコリン-アミノ酸からなるILについて取り上げ,それらのILsによる難溶性の医薬品有効成分(API)の溶解性改善ならびに可溶化メカニズムについて述べていく。これらBiocompatible ILsによるAPIの可溶化により,APIの経口投与時の吸収性,皮膚透過性,生物学的利用能の向上に寄与することが期待される。