2020 年 20 巻 3 号 p. 125-133
エイコサペンタエン酸(EPA)等の高度不飽和脂肪酸(PUFA)は様々な生理機能を有することで知られるが,主な供給源が魚油であるため供給不足が懸念されている。そのため,PUFAのサステナブルな供給源の開発が求められている。微細藻類は高い油脂生産能からPUFAの新規供給源として期待されており,培養から油脂抽出・精製に至るまで様々な取り組みが行われてきた。しかし,微細藻類の商業利用のためにはPUFAの生産性が不十分であり,藻類株の改変による生産性向上が必要不可欠であった。本稿では微細藻類NannochloropsisのEPA合成経路の解明および複数の遺伝子の発現強化によるEPA生産性向上について研究成果を紹介する。