2008 年 49 巻 8 号 p. 368-375
症例は51歳の女性.腹水,下肢の浮腫を主訴に当科に入院し,画像検査,組織検査の結果から非代償性肝硬変と診断された.患者は23歳時にCrohn病と診断され,内科的治療が奏効しないため,23歳時,35歳時の2度に亘り,計200 cmの小腸切除を施行され,38歳頃より脂肪肝が認められていた.HBs抗原,HCV抗体は共に陰性で飲酒歴はなかった.経過中,血清総コレステロール,中性脂肪,血清総蛋白,アルブミン,ALTはほぼ正常値を推移し,低栄養・過栄養もみられず,継続的なステロイド治療,経腸栄養療法も受けていなかった.短腸症候群を原因として,非アルコール性脂肪肝から肝硬変へ進展したと考えられた.