肝臓
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劇症肝炎における予後因子とcost-benefitanalysisからみた集中治療の限界
石井 邦英神代 龍吉古賀 郁利子小川 浩平久富 斉子佐田 通夫谷川 久一坂本 照夫加来 信雄
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1998 年 39 巻 2 号 p. 68-72

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抄録

最近3年間に当施設で経験した劇症肝炎12例の総医療費について調べ, さらに予後予測と実際の予後との見直しを行い, 予後判定の有用性の有無や社会的問題点などについて検討した. 非A非B非C型の劇症肝炎亜急性型の8例はすべて死亡した. 予後予測による予後判定では, 高橋らのLogistic analysisおよび肝移植適応ガイドライン案では全例に転帰の一致をみた. 60日以上延命できたが肝不全のために死亡した亜急性型の3症例では, 総医療費も膨大となった. 平均15日の治療期間で, 1日あたりの医療費が40万円を超える例が5例 (42%) に認められた. 劇症肝炎の集中治療においては, 1カ月に約1000万の医療費が必要と考えられた. 以上より劇症肝炎亜急性型で死亡が予測された症例では, 早期に肝移植を考慮すべきであり, 十分なインフォームドコンセントのもとに家族の同意を得た治療法を選択する必要がある.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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