肝臓
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小結節撒布型および単結節腫瘤型の2種類の限局性脂肪化を合併したアルコール性肝硬変の1例
永井 英成石井 耕司川船 隆史窪田 学永井 一毅岡島 存男山室 渡羽鳥 知樹住野 泰清野中 博子
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1998 年 39 巻 2 号 p. 82-88

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抄録

症例は40歳男性, ウイスキー1日1/2本×20年の常習大酒家. 全身倦怠感を主訴に受診. 血液検査と腹部超音波 (US) 検査にて, 肝障害と肝内腫瘤を指摘された. 入院時の腹部USで, 左葉外側区領域の辺縁明瞭な直径25mmの高エコー腫瘤像と, 両葉に細かい撒布性の高エコー小結節を認め, CTスキャンでは同病変は低吸収域として描出された. 肝動脈撮影では腫瘍濃染像や腫瘍血管などの異常所見は得られなかった. 左葉外側区領域の腫瘤に対しUS下肝腫瘤狙撃生検を行い, 単結節腫瘤型の限局性肝脂肪化と診断した. また両葉にわたる細かい撒布性の小結節も限局性肝脂肪化と考えた. 禁酒にて経過観察したところ, 約1カ月後には左葉外側区領域の単結節腫瘤は縮小し, 両葉にわたる細かい撒布性の小結節はほぼ消失した. 以上から, 単結節腫瘤型および小結節撒布型の2種類の限局性肝脂肪化を合併したアルコール性肝硬変の1例と考えられた.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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