肝臓
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経動脈性門脈造影下CT (CTAP) が濃染所見, 肝動脈造影下CT (CTA) が乏血性所見を示したアルコール性肝硬変再生結節の1症例
金 守良松岡 利幸林祥 岡剛工藤 正俊新谷 繁之佐々木 一憲金 貞孝井本 勉金 啓二
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1998 年 39 巻 3 号 p. 175-180

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抄録

症例は47歳男性で大酒家. 心窩部痛を主訴に入院. T-Bil 2.05mg/dl, GOT 420IU/l, GPT 216IU/l, γ-GTP 849IU/l, CA19-9は130ng/mlであった. 腹部超音波 (US) 所見では尾状葉para-caval portion (S1領域) に5×3cm大境界不明瞭高エコーSOL所見があり, インクレメンタルダイナミックCT早期相では, 肝実質よりlow densityのSOL所見でS7, S8領域も同じ所見を示した. MRIでT1強調像がhigh, T2強調像がlow intensityのSOLs領域も同じ所見を示した. 血管造影では門脈は正常で右肝動脈はcork screw様所見であったCTAPではIVCに接する右中肝静脈間根部 (S1領域) が結節状に強く濃染したが, 炭酸ガス動脈下US, CTA所見では乏血性の所見であった. 99mTc肝フチン酸シンチ及び99mTcアシアロ糖蛋白レセプターシンチではS1, S7領域にhot spotを示した. S1領域の病理組織所見は過形成はなく, pericellular fibrosisの見られるアルコール性肝硬変再生結節であった.

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© 社団法人 日本肝臓学会
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