2019 年 61 巻 p. 49-53
露地ナスに発生するミナミキイロアザミウマの土着天敵であるヒメハナカメムシ類に対する9種殺虫剤の圃場影響を調査した。ニジュウヤホシテントウの防除薬剤では,メタフルミゾンは影響が小さかったが,インドキサカルブは処理1週間後以降に軽微な影響があった。ナミハダニ黄緑型の防除薬剤では,ピフルブミド,ミルベメクチン,スピロテトラマトのいずれも影響が無かった。アオクサカメムシの防除薬剤であるアセタミプリドとジノテフラン,並びにミナミキイロアザミウマの防除薬剤であるエマメクチン安息香酸塩とフロメトキンは,処理直後にヒメハナカメムシ類が急減したが,2週間後には無処理の 1/3~1/2 程度まで密度が回復した。これらの結果から,露地ナスで使用するニジュウヤホシテントウの選択性殺虫剤としてメタフルミゾンが,ナミハダニ黄緑型の選択性殺虫剤としてピフルブミド,ミルベメクチン及びスピロテトラマトが適していると考えられた。また,アオクサカメムシの防除にアセタミプリドまたはジノテフランを使用するとヒメハナカメムシ類が減少するので,エマメクチン安息香酸塩またはフロメトキンを同時に散布することで,ヒメハナカメムシ類の密度が回復するまでの2週間程度の間,ミナミキイロアザミウマを抑制するのが良いと考えられた。