本研究は鉄欠乏動物を作成し、血清のテストステロン量や精巣の組織学的変化を観察し、鉄欠乏のそれらに及ぼす影響について検討した。鉄欠乏区では、対照区に比べ血清ヘモグロビン量、ヘマトクリット値や血清, 肝臓、脾臓中の鉄量は明らかに低値を示し、脾臓や心臓の肥大が認められ、明らかに鉄欠乏の状態を示した。これらのラットの精巣のライディヒ細胞は萎縮が見られ、血清のテストステロン量の低下が認められた。また鉄欠乏区では血清中の過酸化脂質(TBA値)は高値を示し、血清トリグリセリド, コレステロール量も著しく高い値を示した。鉄欠乏動物では性ホルモン分泌機能が低下することが認められ、それは鉄欠乏による酸化促進が影響していることが伺えた。