2015 年 39 巻 3 号 p. 608-611
今回,反復性肩関節前方脱臼患者の症例において全身麻酔下に前方動揺性を外転角度と回旋角度を変えて検討した.29例29肩,平均年齢24.1歳を対象とした.方法は,全身麻酔下に側臥位で助手が患者の患肢を0度,45度,90度の各外転角度で外旋0度,45度,最大外旋位の計9肢位を保持して検者が前方動揺性の評価を徒手でHawkinsの分類を用いて5段階で行った.従来考えられていた脱臼肢位である90度外転位,最大外旋位で動揺性を認める症例は6.9%のみであり,外転0度では外旋0度,外転45度と90度では外旋0度と45度で有意に動揺性を認める症例が多かった.肩関節前方脱臼例の前方動揺性は,各外転角度では最大外旋位よりも0度と45度外旋位において顕著となった.