2015 年 39 巻 3 号 p. 716-719
肩腱板断裂は腱板筋の筋萎縮を伴うことがあり,その筋萎縮が術後に回復するかどうかに関して定まった見解は得られていない.関節鏡下腱板修復術を施行し,術後再断裂を認めなかった131肩を対象とし,術前および術後1,3,6,12ヶ月のMRI斜位矢状断像Y-shaped viewにおいて,棘上筋の筋萎縮の指標となる占拠率の経時的変化を検討した.観察期間中変化を認めなかったものが,93例(71%)と大半であった.術直後の増加を認めたものが21例(16%),観察期間中を通して漸増したものが7例,観察期間中で減少したものが10例であった.術直後に増加を認めた21例のうち5例がその後も漸増,10例は増加後不変,6例は増加したのちに減少していった.棘上筋占拠率が経時的に増加していると考えられたものは,術直後に増加し,かつその後も増加した5例と,経過観察期間中に漸増した7例の計12例(9.2%)と少数であった.