抄録
肩関節周囲炎の疼痛原因はいまだ不明である.一方で腱板断裂が存在しても半数以上が無症候性であり,疼痛原因はいまだ不明である.この二つの疼痛原因が烏口上腕靭帯を含む腱板疎部周辺組織にあると仮定し,ヒアルロン酸ナトリウム(以下SH)を前方穿刺法で肩峰下滑液包注射を行ってきた.今回,当科における前方穿刺法の成績を調査した.XP,MRIで画像所見のない18肩を肩関節周囲炎群,MRIで腱板断裂を認めた20肩を腱板断裂群とした.週1回,5回までSHを肩峰下滑液包へ前方穿刺法で注射し,各診察時と最終注射後1か月で疼痛NRS,夜間痛,中途覚醒の有無を調査した.疼痛NRSは両群ともに有意差をもって,初診時の30-40%まで疼痛は軽減した.両群間の成績には有意差は認めなかった.夜間痛,中途覚醒も両群ともに70-80%の消退率であった.肩峰下滑液包前方穿刺法によるSH注射は疼痛軽減に対して十分な効果を認めた.