抄録
腱板広範囲断裂症例(Massive Rotator Cuff Tear: MRCT)では,肩甲胸郭関節が代償的に機能している.MRCTのリハビリテーションを実施する上で,肩甲帯周囲筋群の機能を理解することが重要である.本研究ではMRCTの僧帽筋各線維,前鋸筋,および三角筋各線維の筋活動性を筋電図学的に分析した.対象は,MRCT群18肩,健常群11肩の2群とし,肩関節0°30°60°90°屈曲位を保持し,屈曲0°-30°,30°-60°,60°-90°間の筋活動比率(R-muscle値)を算出した.屈曲0°-30°間で前鋸筋,30°-60°間で僧帽筋中部線維のR-muscle値がMRCT群で有意に高値を示した.MRCTでは屈曲初期に肩甲骨上方回旋が増大すると報告されている.MRCT群の前鋸筋と僧帽筋中部線維のR-muscle高値は,肩甲骨上方回旋とその肢位での保持に関与したと考えた.