2019 年 43 巻 2 号 p. 519-523
鏡視下腱板修復術(ARCR)の術後疼痛を鏡視下前十字靭帯再建術(ACLR),人工膝関節全置換術(TKA),人工股関節全置換術(THA)と比較した.各群で手術前日~術後4日までの安静時痛と動作時痛の強さを,それぞれNumeric Rating Scale(0-10)で記録した.ARCR群はACRL群と比較し術前および術後3日目,4日目の安静時痛・動作時痛が有意に高値(p < 0.05),TKA群と比較し術後1,3日目の動作時痛および術後全期間での安静時痛が有意に高値(p < 0.05),THA群との比較では動作時痛に有意差はなく術後1~3日目での安静時痛が有意に高値(p < 0.05)であった.現在当院で行っている疼痛コントロールではARCRは他術式と比較して術後3,4目まで強い安静時痛が遷延する傾向にあり,術後早期退院の阻害因子となっていると推察された.ARCRでは術後亜急性期での安静時痛のコントロールが今後の課題であると考えられた.