2020 年 44 巻 2 号 p. 400-404
糖尿病患者(DM群)の凍結肩に対する鏡視下関節包切離術の術後疼痛・可動域の推移を非DM群と比較した.DM群7肩と非DM群20肩を対象とし,術後VASと可動域の推移,術後1年のJOAスコアを検討した.VASの推移(術後1,3,6ヵ月,1年)はDM群(3.3,2.5,1.9,0.9)に対し非DM群(2.4,1.2,0.7,0.6)であり,術後1,3,6ヵ月で有意にDM群が高値であった.可動域は,屈曲でDM群(105.7,130.7,138.6,151.4)に対し非DM群(128.5,146,156.5,161.5),外旋でDM群(30.7,48.6,55,60.7)に対し非DM群(42.3,50.8,58.5,63.3),内旋でDM群(L3,L2,T12,T11)に対し非DM群(L1,T11,T9,T9)であり,屈曲・内旋は術後すべての時期でDM群が有意に劣っていた.術後1年のJOAスコアはDM群91.7に対し非DM群94.4と差はなかった.DM群は非DM群と比較して術後疼痛が遷延し屈曲・内旋可動域の改善が劣っていたが,術後1年のJOAスコアには差がなかった.