肩関節
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検査
上腕骨皮質厚と腰椎・大腿骨骨密度の関連 -皮質厚から骨脆弱性は予測できるか-
菅野 敦子相澤 利武
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2021 年 45 巻 1 号 p. 1-4

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抄録
 上腕骨近位端骨折の加療において骨脆弱性を把握することは大事であるが,骨密度を早期に測定することは難しい.上腕骨近位部の皮質厚と,腰椎正面及び大腿骨正面の骨密度との関連を調べた.また,骨密度低下を予測するためのカットオフ値となる皮質厚を検索した.男性11例,女性111例が対象である.腰椎・大腿骨とも,若年成人比(以下%YAM)70%未満の症例では,70%以上の症例と比して有意に皮質厚が薄くなっていた.皮質厚と骨密度とには正の相関が認められ,大腿骨側でより強い相関を認めた.皮質厚5.0mmをカットオフ値とした際に,大腿骨骨密度で陽性的中率86.7%,陰性的中率67.6%,正確度76.1%と最も高い値を示しており,5.0mmが骨密度低下を予測できるカットオフ値と考えた.欧米での研究と比べて骨密度低下を予測する皮質厚が薄く,体格の違いが影響した可能性が考えられた.
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© 2021 日本肩関節学会
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