抄録
われわれは,鎖骨と肩甲骨の協調運動と鎖骨のsuspension mechanismを再獲得するため肩鎖関節脱臼Rockwood分類type IIIに対して手術加療を推奨している.当院で関節鏡下にDog Bone ButtonTMによる烏口鎖骨靱帯再建とソフトアンカーを用いた肩鎖靱帯再建を行い,臨床成績を検討したので報告する.対象は肩鎖関節脱臼Rockwood分類type III新鮮例に対して鏡視下靱帯再建術を施行した7例である.評価項目は最終診察時の単純X線所見,JOA score,JSS-ACJ score,術中・術後合併症とした.また,単純X線で骨孔拡大および亜脱臼率を評価した.術後平均JOA scoreは93.7点,平均JSS-ACJ scoreは91.6点,単純X線で骨孔拡大を5例,術後亜脱臼を1例に認めた.今回,概ね良好な成績を得たが,合併症として鎖骨の骨孔拡大を高頻度に認め,1例で亜脱臼を認めたことを考慮すると,より解剖学的な烏口鎖骨靱帯再建やより強固な肩鎖靱帯再建といったさらなる工夫が必要である可能性が示唆された.