抄録
上腕骨外科頚骨折後は偽関節となりやすく,要因は不明な点が多い.今回,当院で治療した上腕骨外科頚骨折後偽関節8例を対象に,上腕骨外科頚骨折後偽関節の要因について検討した.糖尿病やステロイドの内服など偽関節に影響する内的因子を有する症例は8例中3例であった.全症例においてMRI,術中所見において腱板完全断裂を認めなかった.本邦では腱板断裂の罹患率は60代で15~26%,70代で27~46%,80代で37~50%との報告もあり,自験例では60代が3人,70代が3人,80代が2人の為,腱板断裂が認められない確率は低い.一般に上腕骨外科頚骨折の保存加療の固定方法では三角巾および体幹固定を行なうが,姿勢の変化に伴い肩甲上腕関節の適合性を合わせる腱板筋の活動は抑制しにくい.そのため,固定期間中の腱板筋の活動は,上腕骨外科頚骨折に対する保存加療後偽関節となる要因の一つと考えられた.