抄録
肩甲骨関節窩上方傾斜と腱板断裂の関係は一定の見解を得られていない.腱板断裂症例と断裂のない症例における肩甲骨関節窩周囲の形態の違いを調査した.対象は断裂群59例と上腕骨近位端骨折で術中に腱板断裂を認めなかった非断裂群40例とした.肩甲骨3DCTの側面像で関節窩周囲を4区画に分類し,各区画の関節窩周囲の隆起の有無を調査した.また,β-angleとcritical shoulder angle(CSA)を計測した.断裂群における上方の隆起の割合は非断裂群と比べて有意に小さかった.β-angleは断裂群が非断裂群に比べて有意に小さく,CSAは断裂群が非断裂群に比べて有意に大きかった.断裂群の中で関節窩上方の隆起の有無で比較すると,隆起がある症例と比べて隆起がない症例はβ-angleが小さく,関節窩は上方傾斜していた.腱板断裂症例は関節窩上方隆起がないことが多く,関節窩上方傾斜が増大する傾向を認めた.