抄録
社会人野球選手28名,投手20名,野手8名,平均年齢22.8歳(19-27歳)に対して,超音波検査による上腕骨頭の前方移動量の定量評価を行った.被験者を仰臥位とし,前方走査によって肩関節外転0° ,45° ,90° において肩関節最大外旋位とし前方から40Nの力を加えて骨頭を圧迫し,圧迫前後の骨頭の前後変位量(AHT)を測定した.外転0° ,45° ,90° でのAHTは投球側,平均0.3mm, 0.5mm, 0.6mm,非投球側,平均0.4mm, 0.5mm, 0.6mmで2群間で有意差はなく,投球側と非投球側での差は64-82%でその差が ± 0.5mm以内であった.しかし,1mm以上の差を認める選手が3名11%に認められた.またAHTはポジション,後方タイトネスや静的安定性の有無での有意差はなかった.AHTの投球側-非投球側差は野球選手の投球時の障害リスクの一つとして捉えることができる可能性がある.