抄録
ラグビー選手の肩関節外傷では原因がわからずに長引く疼痛を訴える場合があり,その中で前上方の関節唇損傷(asUPS)のみ認めることも多い.今回,その診断および治療成績を検討した.
右肩痛を主訴に当院を受診し,関節造影MRI(MRA)にて前上方の関節唇損傷を有しasUPSと診断したラグビー選手41肩を対象とした.全例男性で初診時平均年齢は20.0歳(15-31歳),平均観察期間は20.2か月(12-41か月)であった.初診時にステロイドと局麻剤を関節内注射後リハビリ施行し,症状改善とともに競技復帰を許可した.
受傷から初診まで平均11.9週(1-116週)で,注射平均回数は2.1回(1-7回),競技復帰は平均4.0週(1-12週)であった.32肩は再発なく競技継続可能で,再発した9肩のうち5肩は1回のみの再発で競技継続中である.4肩(9.8%)が再発のため手術加療となった.
MRAはラグビー選手の関節内病変を同定するのに有用であり,前上方の関節唇損傷のみの場合は保存療法で改善する可能性が高く,初診時の正確な診断が重要と考えられる.