抄録
ガングリオンなどの占拠性病変を伴わない肩甲上切痕部での絞扼による肩甲上神経(SSN)単独麻痺の臨床的特徴と鏡視下SSN剥離術の治療成績を検討した.対象は男性5例,女性1例,年齢は21~59歳(平均34.2歳),術後経過観察期間は1~4.3年(平均2.1年)であった.6例中,4例が仕事やスポーツで肩を挙上した状態での繰り返し動作を日常的に行っていた.身体所見上,棘上筋,棘下筋の筋萎縮,SSN領域の知覚低下,肩関節外旋の自動可動域と筋力低下を認めた.MRIでガングリオンなどの占拠性病変を認めず,筋電図で棘上筋,棘下筋の神経原性変化を認めたものを,肩甲上切痕でのSSNの絞扼が原因であると診断した.鏡視下に上肩甲横靭帯を切離してSSNの絞扼を解除した.全例,筋力,筋萎縮ともに改善した.鏡視下手術は低侵襲で,早期よりリハビリが可能であり,疼痛の改善や筋力の回復,肩関節機能の獲得についてより優れた手術法であると考える.