抄録
鏡視下腱板修復術の術後良好な修復状態を得るために,修復腱板の緊張度が重要である.本研究の目的は一次修復困難な症例に低修復張力にて施行したsurface-holding法の術後成績を検討することである.対象は2015年から2022年4月までに手術加療をおこなった233例中,腱板断端が外転0度にて20N以下で大結節に到達せず,かつ骨頭軟骨の外側縁に到達した41例(男性28例,女性13例)とした.術後約1年のMRIで再断裂の有無を調査し,再断裂ありをR+群,再断裂なしをR-群とし,両群間でのJOA scoreと術前の腱板筋のGoutallier分類とGFDI(Global fatty degeneration index)をMRIにて調査し比較検討した.統計学的検討はMann-Whitney U testを使用し,p < 0.05を有意差ありとした.平均経過観察期間は13(range; 12-17.6)ヶ月,再断裂は4例(9.8%)であった.術後JOA scoreはR+群で75.9 ± 14.8(SD)点,R-群で89.9 ± 5.9(SD)点でありR+群で低値であった(p=0.04).棘上筋のGoutallier分類はR+群でstage2が1例,stage3が3例,R-群でstage1が22例,stage2が10例,stage 3が5例であった.棘下筋はR+群でstage2が2例,stage3が2例, R-群でstage1が22例, stage2が15例であった.肩甲下筋はR+群でstage2が4例, R-群でstage1が29例, stage2が8例であった.GFDIはR+群で平均2.4(range, 2.3-2.7),R-群で平均1.4(range, 1.0-2.3)でありR+群で高値であった(p=0.002).腱板筋の脂肪変性がみられる症例に対して修復張力を低く設定しても再断裂がみられ臨床成績が低下した.