抄録
経口ビスフォスフォネート製剤(以下BP 薬)は骨粗鬆症の極めて有用な治療薬である一方,本薬剤によって引き起こされる顎骨壊死の発生が問題となっている.経口BP 薬治療における処方医と歯科医が連携する場合,薬剤の有用性と副作用を双方が十分に理解することが出発点となる.本総説では連携上の問題点を整理し,具体的な連携方法, 将来展望について言及した.
現時点での問題点は①日本人と口腔環境の異なる欧米人を対象に調査された経口BP 薬による顎骨壊死の発生頻度値が本邦においても使用されている.②顎骨壊死に対する医科歯科合同のポジションペーパーと厚労省による改訂添 付文書間の歯科処置に関する異なった見解が存在する.③壊死が発生する顎骨の特殊性に対する理解が不十分である. これらを解決することが円滑な連携を構築する最初のステップとなる.特に改訂添付文書中の歯科処置に関する文言 をポジションペーパーと整合性が取れるものに変更することを骨粗鬆学会,口腔外科学会等の関連する諸学会が連携 して提言する必要がある.
現実的な連携の在り方は処方医と歯科医だけでなく薬剤師,製薬会社を含んだ広い範囲の連携関係を築いていくことが重要である.患者カードに顎骨壊死発生の予防に関する正確な情報を記載することで,患者の皆様が積極的に歯科を受診し予防的歯科処置を受けていただければ,それぞれが利益を享受できるようになると考える.
連携は骨粗鬆症患者の皆様の口腔環境の良好な保持と経口BP 薬の中断のない投与を通して,顎骨壊死発生や全身の骨折リスクの低減が咀嚼機能やADL 維持を通して日常生活の質を向上させることが目的である.処方医である整形外科医と歯科医は連携して全身の骨の健康を守り,健康寿命延長に最も貢献する職種であると思われる.我々は誇りを持って経口BP 薬の顎骨壊死発生の予防と治療に携わるべきである.