日本健康医学会雑誌
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静岡県西伊豆地区における中高年の肥満に関する研究 : 体格指数と体脂肪率との組み合わせによる検討
中野 正孝野尻 雅美宮崎 有紀子沼田 加代
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2001 年 10 巻 1 号 p. 20-31

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抄録

地域における肥満度測定の有用性に関しての基本的な情報を得る目的で,1999年に静岡県西伊豆地区の老健法健診受診者,男548人,女851人を対象に,体格指数(BMI),生体インピーダンス法(BI法)及び皮脂厚法(SF法)による体脂肪率の測定を行った。それらと健診所見との関係について検討した結果,以下のことが明らかになった。1.一定の基準に従って,対象者を「やせ」「適切」「やや肥満」「肥満」の4群に分類したところ,肥満と判定されたのは,BMIが男11.1%,女14.0%,BI法が男10.4%,女30.7%,そして,SF法では男7.7%,女25.4%であった。2.測定方法によらず,中性脂防,GPT及び血糖値の異常者出現率は,肥満群が他の群に比して有意に高く,適切群に対する性・年齢補正オッズ比は,中性脂肪,GOT,GPT,γ-GTP及び血糖において,肥満群が他の群に比して有意に高かった。3.BMIとBI法(BMI-BI法)及びBMIとSF法(BMI-SF法)とを組み合わせ,「非肥満」「みかけ肥満」「かくれ肥満」「肥満」のように4群に分類したところ,前者の肥満群は男29.6%,女36.5%であり,後者では男20.8%,女32.1%であった。BMI-BI法では,みかけ肥満群が他の群に比して,異常者出現率が高い検査項目が多かったが,BMI-SF法では肥満群に高い検査項目が多かった。非肥満群に対する性・年齢補正オッズ比は,中性脂肪ではBMI-BI法のかくれ肥満群が4.312,肥満群が5.176,血糖ではBMLBI法の肥満群が5.249,BMI-SF法では5.726であった。尿糖,中性脂肪,GOT,GPT,γ-GTP及び血糖では, BMI-BI法とBMI-SF法がともに,肥満群のオッズ比が他の群に比して有意に高かった。

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