2009 年 2009 巻 60 号 p. 73-76
北海道では以前より,セルリー栽培において軟腐病とは異なる細菌性腐敗症状が発生していた.そこで,2006年6月に洞爺湖町における6 軒の農家ハウスにおいて,セルリーの葉柄のみが濃褐色に腐敗して軟腐病特有の腐敗臭のしない個体から細菌を分離した.罹病部からは,主に蛍光性色素を産生する細菌が多数分離された.これらをセルリーに接種すると原病徴が再現され,同一細菌が再分離された.細菌学的性質を調べたところ,既報のセルリー腐敗病菌の性質と一致した.これらにより,本細菌をPseudomonas marginalis pv. marginalis(Brown 1918)Stevens 1925 と同定した.北海道におけるP. marginalis pv.marginalis によるセルリー腐敗病の確認は初めてである.