日本航空宇宙学会誌
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特集 モーフィング技術 第5回
鳥の翼の柔らかさの機能について
稲田 喜信
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2016 年 64 巻 7 号 p. 215-220

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抄録

鳥の翼はケラチンという柔らかさと丈夫さを兼ね備えた蛋白質でできている.鳥の翼の翼端には風切り羽があり飛行中に空気の力によって上方に反り返る.その空気力学的な効果を分析するための研究を行った.硬い材料と柔らかい材料で風切り羽の模型を作製し,風洞実験により性能を比較した結果,柔らかい羽は硬い羽に比べて反りによって大きな上反角を持ち,横滑りを防いで直進安定性を高める効果を持つことがわかった.一方,柔らかい羽は空気力との相互作用によりフラッタを発生しやすいという問題を持つが,鳥の風切り羽が持つリフレクションが捩れフラッタや曲げフラッタを抑制する効果を持つことを風洞実験により確認した.鳥はその翼を地上では短くたたみ,飛行中は伸展するため大きな変形を可能にする柔軟性と,多少の外乱の中でも飛行できる安定性を備えていなければならない.鳥の羽が持つ柔らかさはそれらの要求を同時に満たすことができる便利な特性と言える.

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© 2016 一般社団法人 日本航空宇宙学会
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