2020 年 68 巻 6 号 p. 181-187
SiC繊維強化SiC複合材料(CMC)は,現用のNi基系超合金よりもはるかに軽量で耐熱性に優れ,しかも,釘を打っても壊れない損傷許容性を有することから,高度な信頼性が要求される航空機エンジン用耐熱部材としての適用が期待されている.しかし,約1100~1200℃以上の酸素・水蒸気を含む燃焼ガス環境においては,CMCの酸化・減肉やそれに伴う損傷許容性の消失が問題となる.本稿では,CMC部材の耐久性向上に不可欠なCMC表面への環境遮蔽コーティング(EBC)とCMC内部の界面コーティングについて,最近の技術動向と第I期SIPの研究成果を中心に紹介するとともに,これらのコーティングの将来展望について述べる.