2023 年 71 巻 7 号 p. 190-197
本稿では,将来想定される軌道ベース運用における予測飛行時間の不確かさを,飛行条件と気象条件に基づいて正確に予測するモデルの導出方法を解説する.たとえマッハ数,飛行高度,飛行方向が一定に制御されていても,飛行時間の予測に飛行速度や気象条件の変動に起因する不確かさが生じることは避けられない.そこでその不確かさの大きさをあらゆる状況を考慮して正確に予測するべく,対地速度,飛行距離,マッハ数あるいは指示対気速度,風と気温の予報値の関数として,誤差伝播の法則に基づいた理論モデルを導出する.そしてそのモデルの係数を実際の飛行データのクラスタリングおよび線形回帰分析により決定することにより,定量的にも正確なモデルを得る.このようにして得る予測飛行時間の不確かさモデルは,将来の軌道ベース運用の安全性と効率性を同時に向上させることができるものと考えられる.