2025 年 73 巻 6 号 p. 187-193
ロケット飛行中,固体モータからの電離排気プルームが通信波と干渉し,時に通信途絶を引き起こす.この予測は依然として経験的になされており,予測手法の確立が求められている.そこで連続流の仮定に基づき電離プルーム流れを解き,その解をMaxwell方程式の数値解法である有限差分時間領域法に適用し電波減衰を算出する手法を開発した.飛行中データとの比較の結果,高度85 kmでは計算結果と飛行データは良好な一致を示した.しかしより高高度の183 kmでは大気の希薄化を考慮する必要があり,連続流の仮定の限界が示唆された.現実的な計算資源での希薄流解析実現のため,ロケット近傍の高密度領域の連続流解法と,希薄流の解析手法であるDirect Simulation Monte Carlo法を組み合わせた手法を開発した.無反応流で十分な精度を確認後,反応流を計算負荷の低い流線抽出に基づく化学反応事後計算により求めた.高高度では希薄流効果により電子がより広範囲に分布するため,連続流解析と飛行データに差異が生じたことを確認し,本手法による高高度飛行時の電波減衰予測実現の目途を示した.