2025 年 73 巻 9 号 p. 293-296
小型超音速実験機「NEXST-1」は,過去に実用化された燃費性能の悪い“コンコルド”の経済性改善に向けた先進空力設計技術の飛行実証を目的とした実験機である.この実験機にはコンコルドを超える圧力抵抗低減技術の適用拡大と,大後退角の主翼(亜音速前縁翼)では世界初の摩擦抵抗低減技術(自然層流翼設計法)が適用され,高度18 km,マッハ2の飛行条件下においてその自然層流翼の飛行実証もまた世界初である.本成果は中核技術の特許化,設計ツール及び飛行データを含む「データベース」の構築と国内関係機関への提供を通して,我が国航空産業の技術力向上及び人材育成への貢献に繋がっている.海外からも高い注目を集め,将来の超音速旅客機の国際共同開発における日本のポジショニング確保にも影響を与えたものと判定され,航空宇宙技術遺産第二号に認定された.