2019 年 69 巻 3 号 p. 237-242
症例は大動脈弁置換術後ワルファリン内服中の60歳代・女性.交通事故で外傷性くも膜下出血・硬膜下血腫および骨盤骨折を受傷し同日当院へ入院した.入院後に判明した骨盤骨折部からの出血に対し緊急経カテーテル動脈塞栓術を行った.第2病日から経静脈的ヘパリン投与を開始した.第6病日,意識状態悪化と頭部CT検査での頭蓋内血腫増大のためヘパリンを中断した.第8病日にヘパリン投与を再開し管理していたが,第25病日に行った頭部CTで慢性化した硬膜下血腫による正中偏位の増強および同日深夜から左上肢不全麻痺が出現したため,第27病日に穿頭ドレナージ術を行った.第30病日からヘパリン投与再開,第32病日からワルファリン投与を再開し,第37病日にヘパリン中止,ワルファリンのみの管理とした.その後の経過は良好で,第51病日に転院した.
出血時の抗凝固・抗血小板療法再開に関する明確な基準は未だ無く,更なる症例の集積と検討が必要である.