北関東医学
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原著
LGBTに対する看護系大学生の理解に関する調査
吉澤 真歩近藤 浩子井田 伸人
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2021 年 71 巻 1 号 p. 37-46

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抄録

【背景・目的】 国際社会においては,多様な性のあり方への理解が広まっている.一方,わが国ではLGBTに対する理解不足が,医療従事者のケアの質の低下に影響している.本研究は,LGBTに対する看護学生の理解に関する調査を行い,理解促進のための課題を明らかにすることを目的とした.

【方 法】 看護系大学の1年次から4年次の約320名に無記名質問紙調査を行った.内容は,LGBTに対する1)関心度,2)関わる機会,3)情報源,4)知識,5)医療場面における配慮,6)社会的距離であった.社会的距離については,Lesbian,Gay,Bisexual,Transgenderの4事例を示し,「同僚として働く,雇用する,教師になる,友人が交際する,自分の子どもが結婚する」の5項目についての賛否を尋ねた.

【結 果】 有効回答225件(73.8%)を分析した.関心度は10点満点のVisual Analog Scaleで平均6.7±1.8点であった.関わる機会は「テレビやインターネット」が42.9%,また情報源は「学校」が66.2%と最も多かった.社会的距離については,「同僚」「雇用」「教師」の賛成率が95%以上と高く,一方,「交際」「結婚」は60~90%でやや低かった.また賛成率はLGBTに対する関心度の高さと関連していた(p<.001~p<.05).

【考 察】 LGBTに対する看護学生の理解を深めるには,多様な性のあり方への関心を高めていくことが重要であることが示唆された.

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