北関東医学
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症例報告
高悪性度・局所進行前立腺癌症例に対する重粒子線治療後の生化学的非再発例の剖検例
- 特に前立腺および周囲組織の病理学的評価 -
黒川 公平高玉 真光福田 利夫鈴木 慶二河村 英将大野 達也松井 博伊藤 一人鈴木 和浩
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2021 年 71 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

 症例は85歳,男性.老人保健施設に入所中に死亡し,病理解剖で誤嚥性肺炎による窒息が直接死因と判明した.既往の前立腺癌については,死亡の9年前にPSA高値から前立腺癌Gleason score 4+5,T3aN0M0と診断され,1年間のホルモン療法後に重粒子線治療を実施し,その後1.5年のホルモン療法を行ない,死亡1年前のPSAは0.04 ng/mlと生化学的再発はなく安定していた.病理解剖では,前立腺および周囲組織には前立腺癌細胞の残存はなく,直腸や膀胱頸部にも放射線による異常な組織学的変化はみられなかった.重粒子線治療は,限局~局所進行前立腺癌対する有効な根治療法であるが,病理学的に高い根治性と周囲臓器への低侵襲性が確認された初めての症例と思われたため報告した.

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© © 2021, 北関東医学会
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